解散日記30
10月24日
三月書房には、『黒旗水滸伝―大正地獄篇―』が置いてあって、これ見たかったんだとばかり手に取ると、版面の上部にかわぐちかいじのイラストがあり、下の部分を竹中労の軽快な文章が走っている。行長が短くレイアウトされていて、竹中労の文章はこのくらいの行替えで読むのが一番で、調子が伝わって読みやすい。文句のない編集だ。買おうかと迷ったがちょっと思いとどまった。
『黒旗水滸伝―大正地獄篇―』は、皓星社のニューズレターでとりあげていた本で、今は、本を買うにもネットの力が不可分だ。もちろん、本を買うことにネットが関係しないこともたくさんある。三月書房では、発行をしらなかった「森岡貞香歌集」を購入した。あとは、山本直樹の文庫などなど。
レジの向いの台の上にペヨトル工房の本が並んでいる。本は種類別に並べるものだから、ペヨトル工房だけをまとめるのは変な感じがするねと宍戸さんが笑っている。結構な話題だよね、廃線になったローカル線に人が群がるのと一緒だよね……と、自嘲気味に言うと、「ローカル線はつぶれる前に乗っておけっていうことだよね」と宍戸さんが言ったので、大笑いになった。
話しはどんどん流れていって、ペヨトル工房が口座を借りていた皓星社、思索社の現在、そして皓星社のメイルマガジンを担当していた森田華子さんが会社を辞めた話しととりとめもない。
あ、そうそうバイトのAさんに伝えて下さい。こんなに丁寧に梱包しなくてもいいからと。と、言って、奥からタイトル毎に梱包されたペヨトル工房の本を持ってきたけど、確かに綺麗に包んである。不必要だと宍戸さんは言うけど、綺麗な梱包というのは、ペヨトルの伝統だもの。誰も教えていないのに、Aは、しっかりペヨトル工房の社員をしている。うれしいな。
皓星社『黒旗水滸伝―大正地獄篇―』竹中労/かわぐちかいじ/上下巻/定価2,500円
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