解散日記43

 

 1月22日

      

 最近、テレビで小室ユニットと一緒に映像パフォーマンスをしている原田大三郎を見た。元気に活躍しているなぁ。原田大三郎は、CG作家でもあり、映像ディレクターでもあり、映像を演奏するパフォーマーでもある。小室ユニットでは、フェアライトというコンピュータでビデオ映像を動かしていたようだが、何十年か前に、つくば博覧会の時に、ジャンボトロンで坂本龍一とジョイントしたときにも同じ機材を使っていた。懐かしいなあ。原田大三郎の使う映像は、あれからずっと進化しているが、ジャンボトロンの時のパフォーマンスは、ローテクとハイテクの異常な混在で、創世期のとてつもない感じがあって、今だに大きなインパクトとしてボクのなかに残っている。

 今は、個人名で活躍している原田大三郎だが、つくば博の頃は、アート・ユニットを目指して結成されたRTV(ラジカルティヴィ)で活動していた。ユニットで、しかもライブで映像を扱うアート。現代美術でローリー・アンダーソンを越えるのはこれしかないとボクは勝手に思い入れていた。

 RTVのもう一人のメンバーの庄野晴彦も、RTVを解散したあとに、やはりCGで世界に売れる作品をいくつも作りあげた。所属していた会社が解散して、現在は、独立したので、連絡をとって近況を聞いてみた。CGの新作をこつこつと準備しているようだ。短いデモを見せてもらったが、相変らずのテクスチャー懲りまくりの映像だった。健在、健在。

 しかし映像クリエイティブの現状も、出版と同じく厳しい環境になっている。そのキツさは、ゲームの世界にもパラレルに起きている。昔は、100万本単位売れて始めてヒットだったが、今では10万単位でも良いではないかという現状だ。もちろんファイナルファンタジーを始めとする、大手の作り出すプロダクトは相変らず100万単位を保っている。つまり超メジャーな制作のみが、昔のように成立していて、数は少ないが面白いというソフトがどんどん切捨てられている。というか、成立しなくなっているのだ。

 CGもゲームも新規機材を投入して、一気にスタッフ力を結集して作る方式でしか作品が成立しないとのこと。それでも2年かかったりする。とてもインディでは追いついていかなくなっている。もしかしたら出版でも同じことが言えるのかも知れない。一人とか二人とかでやる出版なら成立するだろうと思っていたが、そんなに簡単ではないかもしれない。



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