解散日記57
9月25日
「歩く紀伊國屋」
野村誠さんがメールで『路上日記』を注文してきてくれた。またコンサートをやるらしい。プロモーションしてもなかなか書店で売れなかった不思議な『路上日記』だけれど、野村さんは、コンサートをするたびにたくさん売ってくれる。出版当初からずっとそうだ。冗談で「歩く紀伊國屋だね」と言ったのを野村さんは覚えていたようで、今回の注文メールのサブジェクトには、「歩く紀伊國屋より」と書いてある。気に入ってくれたのかな。
今、最後の断裁準備をしているが、『路上日記』は最後の一冊まで野村さんが売ってくれそうな気がするので個人的に避難場所を考えている。本来はボクたちが売らなくてはいけないのだが、本当に申し訳ないと思っている。(もちろん今も売ろうとはしているのだけれども)
最後の最後に駆け込みで避難を助けてくれる人たちがいる。マンションに一杯一杯預かってくれる人もいる。また三月書房さんやあべの古書店さんも、追加で一在庫を注文してくれた。大きな倉庫を持っているネット書店が在庫を増やせないのに個人の人たちは、少しでもすき間を作って無理しても預かってくれる。本当にありがとうございます。そうそう『ペヨトル興亡史』を出版しれくれた内浦さんも車庫に大量の本を預かってくれた。たぶんここから三月書房さんに行く。
ちくさ正文館の古田さん(ボクが始めて営業に行ったころからずっとペヨトル工房の本を仕入れてくれている)が、書物の森さんの預かっているペヨトル在庫でフェァをするという、嬉しい連関もあった。改めて本の魅力、本を作るということの力、そして人が意志を持って動いてくれることの大切さを感じた。
野村誠さんが全国のあちこちでコンサートをしながら『路上日記』を売っているように、全国あちこちに好意の人たちがいてペヨトル工房の本を売ってくれた。その人たちはかつて紀伊國屋がたくさんのペヨトル工房の本を売ってくれていたように、本を売ってくれている。全国に歩く紀伊國屋さんがいるのだ。
全国に点在している個人書店さんたちの思いの中で、ペヨトル工房は、本当に最後の時を迎えようとしている。9月28日。ペヨトル工房は解散決了をします。今まで本当にありがとうございました。
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